ドウマンガニの養殖~朝日新聞掲載~

NPO法人「地域生物資源研究所」の理事長で

ある久保先生(静岡大学名誉教授)が、浜名湖

畔でドウマンガニの養殖に取り組んでいます。

昨年度より、オイスカ高校の生徒たちも授業の

一環として、どのような方法で養殖をしているの

か教えてもらったり、プールの中のヘドロや水槽

の藻の掃除、メヒルギ(マングローブ)の植林など

のお手伝いをしています。

そして先日、浜名湖畔でのドウマンガニの養殖について、

朝日新聞の取材を受けました。その内容を紹介します。

□■□■■8月26日(日曜日) 朝日新聞  朝刊掲載■■□■□

20180826ドウマンガニ(朝日新聞掲載)

「幻のカニ」養殖へ 夢一途

ドウマンガニ 浜名湖畔で奮闘 静岡大名誉教授・久保さん

 浜名湖畔で捕れる高級食材で「幻のカニ」とも呼ばれる

ドウマンガニ(ノコギリガザミ)=■=の養殖・量産に、静岡

大名誉教授の久保靖さん(81)が取り組んでいる。2008年

にNPO法人「地域生物資源研究所」(浜松市)を設立。浜名

湖畔に養鰻池の跡地を借りて養殖池用ハウスなどを造り、13

年ごろには稚ガニからの人工飼育に成功した。環境教育の

一環として浜名湖などでマングローブの植栽活動を続けて

いるオイスカ高(同)の教員や生徒も環境整備などで協力。

共に夢を追っている。

■ドウマンガニ

 正式名はノコギリガザミ。主にインド洋と太平洋の熱帯、

亜熱帯地域に生息。マングローブの干潟を好むため「マン

グローブクラブ(カニ)」ともいわれる。日本では高知や沖縄

で捕れ、浜名湖は北限とされる。県水産技術研究所浜名湖

分場によると2017年の浜名湖の漁獲量は約3.7㌧。年ごと

に大きくばらつきがあるが、もともと多く捕れるものではない

ため「幻のカニ」ともいわれ、高級食材として人気がある。

 

養鰻池跡を活用

 施設のハウスは浜名湖のほとり、かつては一面が養鰻池

だった場所に建つ。広さは300平方㍍ほど。中に約百本の

マングローブが植わっている。もともとの南方系のカニでマン

グローブ干潟を好むドウマンガニがより生息しやすい、自然に

近い形にする工夫だ。

 今月初旬の夜。夏の熱気が漂うハウスの池に久保さんがいた。

マングローブの池の底に敷く黒い防草シートに、十数㌢四方に

切った発泡スチロールを畳針で縫い付けていく。底の砂地と

シートの間にスチロールを挟むことで、砂に藻が生えてヘドロ

化することを抑える工夫だ。できあがると長靴を履いて池に入り、

シートを張り巡らす作業。

 放っておくとヘドロが大量にできるため、1日に300㌔グラム

近くの砂をかき出すこともあるという。砂に潜る習性があるドウマ

ンガニにとってきれいな砂は重要な生活の場。「試行錯誤の連

続です」と久保さんは言う。

 挑戦開始から5年ほどで養殖技術を確立。共食いを避けるため

ペットボトルや大きさの違うケースを使って徐々に大きく、個別に

育てるなどの工夫をした。稚ガニから幅15㌢ほどの「大人」にま

で育て、試食会までこぎ着けた。

 だが、この夏は水温が高すぎて親ガニの産卵、孵化が遅れて

いる。「25~29度が適温なのに32度を下回らない。なかなかうま

くいかない」。久保さんは、浜名湖でのマングローブ増殖の実績

があり、ドウマンガニ養殖にも協力してもらっているオイスカ高校の

理科室に水槽などの設備や親ガニを移し、温度管理して稚ガニ

誕生を目指している。

オイスカ高協力

 オイスカ校は自然環境保護などを教育に採り入れ、1990年代

からはフィリピンなどでマングローブの干潟を復活させるための植栽

活動を展開。浜名湖でも植栽活動を継続しており、その縁で久保

さんの挑戦に協力することになった。寺田良太郎校長は「マング

ローブを植えるのは環境保全教育であるとともに地元に貢献する

という大きな意味がある。それと連動する形で浜名湖名産のドウ

マンガニの養殖技術が確立されて海外にも広まれば生徒たちに

とってもすばらしい経験。自信にもなる」と話す。

 養殖池の清掃などに生徒を連れて協力している荻哲也教諭

は「ドウマンガニの養殖はおもしろい教材。できる限りのお手伝い

をしていきたい」と意欲的だ。将来は水産養殖が主要産業の一つ

でオイスカ高の拠点や人脈があるフィリピンのマングローブ林で

カニ養殖を事業化するのが皆の夢。フィリピンの現状を把握する

ため久保さんは現在、知人に現地調査を依頼している。

***途中省略***           (菅尾保)

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